もう一度、あなたに恋していいですか

冷蔵庫、本当に何もないな…

スーパーマーケットから帰った私は、冷蔵庫を開くと中には缶ビールが5本のみ。
普段は外食ばかりなのだろうか。
彼女に作ってもらったりしないのかな。

「台所借りますよー…」

起こさないほどの声をかけてから台所でお粥をつくり、起きたらあたためて食べられるようにラップをかける。

かなり熱が高そうね。
眠る三枝さんの顔は苦しそうで額には大量の汗。

今までじっくり見たことなかったけど、三枝さんって結構顔整ってるかも。
今まで顔も見たくないほど嫌だったため、ちゃんと見たのは初めてだった。

「…普通にしてればかっこいいのに」

そう心のなかでつぶやいたつもりだった。

「悪かったな…しつこくて」

まさかの返事に私は肩をびくっとさせる。
心を読まれたのかと思うほど驚いてしまった。

「三枝さん、起きたんですね」

いつから起きていたのだろう。
さっきの聞かれていただなんて。

「ごめん、なさい…松岡さん、仕事は?」

「放っておけないので、今日は休みました。有給たまってたんで大丈夫です」

「…本当に、ごめんなさい」

ぜいぜいと荒い息をはきながら、三枝さんは額の汗を拭う。

「一応お粥作りましたが、食べれそうなら食べてください。彼女さんとかいるなら、バトンタッチしますので連絡してください」

< 25 / 145 >

この作品をシェア

pagetop