日常に、ほんの少しの恋を添えて
「あんないい男が振られるなんて、信じられないって顔だね」
「いや、そういうわけではないんですが……でも、何があったんですか? さすがにここまで話されると気になります」
「だよね……まあ、それを見越してここまで話したんだけどね。俺、昔から湊だけには負けたくないって思って生きてきたんだ。勉強も、仕事も、恋愛も」

 小動さんの話を聞いて率直にまあ、あるかもな、と思った。
 湊専務はあの容姿で御曹司。それに小動さんとは学生時代からの知り合いだって言ってたし、同じ御曹司という立場だとそういった競争心が働くのは致し方ない。
 でも、恋愛で勝ち負けっていうのがよくわからない。

「……負けたくないから、湊専務から彼女を奪ったんですか……?」

 小動さんは手をひらひらさせながら、若干オーバーリアクションで語りだす。

「それはちょっと違うんだな。美鈴は資産家の令嬢でしかも美人。湊と並べば美男美女で周囲が羨む二人でさ。正直俺は湊が羨ましかった。だけどここで驚くべき事が起きたんだ。なんと美鈴の方から俺に近づいてきたんだよ」
「へ?」

 
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