日常に、ほんの少しの恋を添えて
 あ、その前に花島さんに連絡しておかなければ。

 スマホを取り出し花島さんの携帯へ電話をかける。すぐに出てくれた花島さんに、専務の家に無事到着し、彼をを病院に連れて行ったことを話すと、安堵したようだった。

『よかった、ひと安心ってとこね。で、専務の様子は? 食事とかはできてるのかしら』
「はい、咳してて辛そうではありますが、食欲はちょっとあるみたいです。なので私、食事の支度してからそちらに戻りますので……」
『あー、いい。そこにいて。室長の許可はもらってあるから、今日はそこで専務が大人しく休むよう見張っててくれる? あの人、前に風邪ひいてるのに無理して仕事して肺炎になったことあるのよ。また同じこと繰り返されると困るから。えーと、そうだな……定時になったら帰っていいから。あ、いや、専務が帰るなっていったらそこにいてくれて構わないけどね?』

 え……なに……最後なんか変なこと言われたよ?

「花島さん……何を企んでいるのです……?」
『え、やだ、何も企んでないわよ? とにかく専務のことよろしくね』

 なぜか最後の方に力を込めてそう言った、花島さんとの会話はこれで途切れた。

 ――なんか花島さん、新見さんに似てきてない……?

 
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