日常に、ほんの少しの恋を添えて

 彼女の意図はわからないが、嫌なことは早く済ませてしまいたい。

「わかりました。専務、私ちょっと美鈴さんとお話します。ので、寝室に戻っていてくださいますか」

 私がこう言うと、今度は専務が驚いたような顔をする。

「長谷川、いいのか」
「はい。大丈夫ですので、専務は寝室へどうぞ」

 私がきっぱりと言うと、専務は諦めたように大きくため息をついた。

「何かあったらすぐ言えよ。それと美鈴も。あんまり余計なこと話すなよ」
「はーい」

 美鈴さんに釘を刺し、専務はリビングから出て行った。
 専務がいなくなったリビングで、美鈴さんは静かに紅茶を飲むとそれを置き、私の方へ向き直った。

「ねえ。長谷川さんだっけ? あなた湊のこと好きでしょう」

 ――きた。

「はい」

 小動さんから話を聞いてるかもしれないし、もういいや。

 そう思った私は極力表情を変えずに頷いた。
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