日常に、ほんの少しの恋を添えて
「腫れてるな……隣のビルに整形外科あったよな、そこ行こう。立てるか?」
そう言って専務が私に手を差し伸べてきた。
「あ、はい……」
素直にその手を取り、立ちあがろうとした。が……
「いった……!」
足を床につけた瞬間、激痛が走る。
確実に痛みで顔が歪み、それを目の前にいる専務に見られてしまった。
「ちょっとごめん」
え? と聞き返そうとしたら私の体がふわりと宙に浮いた。かと思ったら私は専務に担がれていて、状況を把握するのに数秒かかった。
「え? え? ええっ!! せ、専務!! 何するんですか!!」
戸惑う私に構わず、専務が階段を下り始める。中肉中背の成人女子を肩に担いでいるというのに、専務の足取りは実にスムーズだ。
「何って医者行くんだよ。この前お前俺を医者に連れてってくれただろ? あの時のお返しだ。今日は俺がお前を医者に連れて行ってやる」
彼の言葉に、私はサーと血の気が引き、青ざめる。
「いやいやいや、何言ってるんですか!! 今日専務最終日でそれどころじゃないですっ、やることだってまだまだたくさんあるんですよ!? 病院は私一人で行きますから!」
「そんなのは今日中に終わらせればいいだろ。目の前に怪我して動けない長谷川がいるのに、それを無視して仕事するなんて俺にはできない」
そう言って専務が私に手を差し伸べてきた。
「あ、はい……」
素直にその手を取り、立ちあがろうとした。が……
「いった……!」
足を床につけた瞬間、激痛が走る。
確実に痛みで顔が歪み、それを目の前にいる専務に見られてしまった。
「ちょっとごめん」
え? と聞き返そうとしたら私の体がふわりと宙に浮いた。かと思ったら私は専務に担がれていて、状況を把握するのに数秒かかった。
「え? え? ええっ!! せ、専務!! 何するんですか!!」
戸惑う私に構わず、専務が階段を下り始める。中肉中背の成人女子を肩に担いでいるというのに、専務の足取りは実にスムーズだ。
「何って医者行くんだよ。この前お前俺を医者に連れてってくれただろ? あの時のお返しだ。今日は俺がお前を医者に連れて行ってやる」
彼の言葉に、私はサーと血の気が引き、青ざめる。
「いやいやいや、何言ってるんですか!! 今日専務最終日でそれどころじゃないですっ、やることだってまだまだたくさんあるんですよ!? 病院は私一人で行きますから!」
「そんなのは今日中に終わらせればいいだろ。目の前に怪我して動けない長谷川がいるのに、それを無視して仕事するなんて俺にはできない」