日常に、ほんの少しの恋を添えて
「このまま家まで送って行ってやりたいんだが、昼に人と会う約束があるしな……だから午後時間空いたら送って行ってやるから、それまで大人しくしてろよ」
「ええっ? そんな……ちゃんと終業時間まで働きます! それに夜は専務の送別会もありますし……」
すると専務の表情がちょっとだけ険しくなった。
「馬鹿。そんなパンパンに腫らした足で送別会出るなんて無茶いうな。歩き回って悪化でもしたらどうするんだ、今日は帰って安静にしてろ! これは上司命令」
上司命令、と言われても今日ばかりは引き下がるわけにいかない。
だって最後なんだもの。専務といられるのは……!
「でも! 今日で専務とお別れなのに、こんなあっさりと家に帰るの嫌です! せめて終業時間までいさせてください、お願いします!」
私の強い口調に怯んだのか、専務がグッと黙った。そしてふー、と諦めたようにため息をつく。
「わかったよ……終業時間まで、だからな。送別会はやめとけよ。いいな?」
「……わかりました……」
残念だけど仕方ない。送別会は諦めよう……
整形外科で松葉杖を借り、痛み止めの鎮痛剤とシップを処方してもらって会社に戻る。
部署に帰って松葉杖を使って歩く私を見た瞬間、花島さんの表情がこわばった。そして私に駆け寄って来た。
「ええっ? そんな……ちゃんと終業時間まで働きます! それに夜は専務の送別会もありますし……」
すると専務の表情がちょっとだけ険しくなった。
「馬鹿。そんなパンパンに腫らした足で送別会出るなんて無茶いうな。歩き回って悪化でもしたらどうするんだ、今日は帰って安静にしてろ! これは上司命令」
上司命令、と言われても今日ばかりは引き下がるわけにいかない。
だって最後なんだもの。専務といられるのは……!
「でも! 今日で専務とお別れなのに、こんなあっさりと家に帰るの嫌です! せめて終業時間までいさせてください、お願いします!」
私の強い口調に怯んだのか、専務がグッと黙った。そしてふー、と諦めたようにため息をつく。
「わかったよ……終業時間まで、だからな。送別会はやめとけよ。いいな?」
「……わかりました……」
残念だけど仕方ない。送別会は諦めよう……
整形外科で松葉杖を借り、痛み止めの鎮痛剤とシップを処方してもらって会社に戻る。
部署に帰って松葉杖を使って歩く私を見た瞬間、花島さんの表情がこわばった。そして私に駆け寄って来た。