日常に、ほんの少しの恋を添えて
 私がほっと胸を撫で下ろすと、そんな私の様子を眺めながら湊さんが苦笑する。


「嫌うわけないだろ。……それに、長谷川なら俺がこまめに連絡しなくてもきっと待っててくれるんじゃないかなって、どこかで確信してたってのもあるかな」

 まあ……その通りだけども。
 湊さんがこちらをちらっと窺うので、私は微笑みを返す。すると彼は安心したようにふ、と息をつく。
  

「でも、長谷川のことはうちの兄貴や河出さん経由でちょっと聞いてたんだ」
「え、そうなんですか?」

 ここでなぜ河出専務が。

「うん。河出専務は俺の叔母の夫だからね。それもあって定期的に連絡を取り合ってたから。長谷川はいつも冷静で、キッチリ仕事をこなしてるって。それを聞いて安心してた。あと、しょっちゅうお菓子を作って皆に配ってるっていうことも相変わらずだなーって思いながら聞いてた。……それと、どうやらずっと彼氏はいないみたいだ、っていう情報も」
「は……」

 河出専務ったら、そんなことまで話したのか……
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