日常に、ほんの少しの恋を添えて
「とても静かですね。なんだか私たち以外には人がいないみたいな……」
興味深げにきょろきょろと辺りを見回す私を見て、専務がふ、と笑みを漏らす。
「こういった場所だから平日は割合静かなんだ。でも週末はかなり人が増える」
建物の裏側にあるホテルの従業員用駐車場に車を停めると、専務に促され私は車を降りた。
ホテルに入ると、専務は近づいてきたホテルのスタッフに声を掛けてから私を振り返る。
「支配人に挨拶してくるから。君はそこのカフェでコーヒー飲んでこい」
「え、それでしたら私もご挨拶に……」
「いや、話が長くなるとコーヒー飲む時間が無くなるかもしれないから。君は後学のためにここのコーヒー飲んでおきなさい」
そう言われると、はい、と頷くしかなかった。
専務と別れ、同じフロアにある売店を覗いたりしてから、カフェラウンジに足を踏み入れる。するとすぐに近寄って来たスタッフが、スマートな接客で窓辺の席に案内してくれた。
おおっ、ソファーふっかふか。
座り心地の良さに感動していると、スタッフがメニューを手渡して去って行った。
さて。専務が言ってたコーヒーはどれかなー
メニューを開くと飛び込んできたのは、このホテル特製のケーキなどのスイーツラインナップ。途端に激しく唾液が分泌される。
やばっ。食べたーい……
だけど今は仕事中。近くに上司がおらずとも、ここはグッと堪えなければ……
――そうよ、専務は「コーヒーを」と言っていたんだもの。ケーキは、我慢……!!
なんとか理性を勝たせ、私は水出しコーヒーだけを注文した。
太陽の光が差し込むカフェテラス。一緒に来ているのが専務、というアドバンテージはあるものの、そんなことを忘れてしまうくらいの素敵な環境に自然と私の顔が緩んでしまう。
そして待つこと数分。私の目の前にコーヒーが置かれた。
興味深げにきょろきょろと辺りを見回す私を見て、専務がふ、と笑みを漏らす。
「こういった場所だから平日は割合静かなんだ。でも週末はかなり人が増える」
建物の裏側にあるホテルの従業員用駐車場に車を停めると、専務に促され私は車を降りた。
ホテルに入ると、専務は近づいてきたホテルのスタッフに声を掛けてから私を振り返る。
「支配人に挨拶してくるから。君はそこのカフェでコーヒー飲んでこい」
「え、それでしたら私もご挨拶に……」
「いや、話が長くなるとコーヒー飲む時間が無くなるかもしれないから。君は後学のためにここのコーヒー飲んでおきなさい」
そう言われると、はい、と頷くしかなかった。
専務と別れ、同じフロアにある売店を覗いたりしてから、カフェラウンジに足を踏み入れる。するとすぐに近寄って来たスタッフが、スマートな接客で窓辺の席に案内してくれた。
おおっ、ソファーふっかふか。
座り心地の良さに感動していると、スタッフがメニューを手渡して去って行った。
さて。専務が言ってたコーヒーはどれかなー
メニューを開くと飛び込んできたのは、このホテル特製のケーキなどのスイーツラインナップ。途端に激しく唾液が分泌される。
やばっ。食べたーい……
だけど今は仕事中。近くに上司がおらずとも、ここはグッと堪えなければ……
――そうよ、専務は「コーヒーを」と言っていたんだもの。ケーキは、我慢……!!
なんとか理性を勝たせ、私は水出しコーヒーだけを注文した。
太陽の光が差し込むカフェテラス。一緒に来ているのが専務、というアドバンテージはあるものの、そんなことを忘れてしまうくらいの素敵な環境に自然と私の顔が緩んでしまう。
そして待つこと数分。私の目の前にコーヒーが置かれた。