日常に、ほんの少しの恋を添えて
「なんていうか……俺が言うのも変だが、君は全く俺に媚びたりとか、好意を持たれたい、といった感情を持って接したりしないんだよな」
「……え?」
専務、何言ってんだ?
と思ったけど、口に出すのはやめておいた。だが無意識に顔に出ていたみたいで。
「おい、その顔。言いたいこと顔に出てるぞ。この人うぬぼれてるんじゃないかって思っただろ」
「いえ、ちょっとだけ外れです」
「大方合ってるんだろ。ほらな」
そう言って専務は呆れるように溜息をついた。
「うぬぼれてるだなんて思ってませんよ。実際専務お顔綺麗ですから」
「見てくれの話じゃなくてだな、俺が藤久良という会社を経営する一族の一人という部分に魅力を感じて近づいてくる女性が、まあまあいた、ということだよ」
「それは……大変でしたね、と言いたいところですが、仕方ないのかもしれません。そういった部分に魅力を感じてしまう女性は少なからずいると思います。やっぱり魅力的ですし」
「でも、それは俺を見ていないだろ」
まあ、確かに。
だけど専務だってイケメンだし、今まで近寄って来た女性は決して名前につられてきただけではないんじゃないかな、とも思うけど。
でも専務がこう言ってるってことは、そう思わざるを得ないことがあったからなのかな?
「専務は、素敵ですよ」
「え?」
私の言葉に目を丸くして、専務が聞き返す。