恋愛預金満期日 
「どう言う事ですか?」
 彼女が僕を見た。


「僕、あなたを迎えに空港に行ったんです。でも、途中で事故を起こしてしまって。一週間意識が無かったんです」


「えっ。そんな…… 私はてっきり……」


 彼女が両手で口を押え、目に涙が滲んだ。

 その姿に奥さんが立ち上がった。

「なんだか凄い話みたい! お聞きしたいけど、今はお二人でゆっくり話をした方がよさそうね。私達は別のテーブルで頂くわ」
 奥さんが優しい笑顔を僕達に向けた。


「そうだな。我々は向こうで……」
 部長も立ち上がった。


「えっ。そんな」
 僕は慌てて謝った。


「気にしないで下さい」
 彼女のおじさんも立ち上がった。


「そうそう、夏樹ちゃん、このお見合い断るって言っていたよな。いいのか?」
 彼女のおじさんは意地悪そうに、彼女を見た。


「えっ」
 僕は思わず声を上げてしまった。


「ちょっと、おじさん! 海原さん又混乱しちゃうじゃない。早く向こうに行って!」


「なんだか、面白そうな男だな」


 彼女のおじさんは、笑いながら、席を移った。
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