意地悪な両思い
そんなお気楽ぽんちな私をいざ知らず、
「そんなに早く手伝いいって大丈夫?
仕事もだけど気づかれするだろうし…」
なんてまだ案じる彼。
本当に心配してくれてるんだろうな、珍しく私みたく彼の眉が八の字になってるし。
でも、速水さんて…
「ちょっと過保護。」
「誰がだ、こら。」
あ、やばい口から洩れてた。
「あ!
っていうか私聞きましたよ、雨宮さんから!」
「なにを?」
「ラビッターのCMの!速水さんが獲得してきたって!」
知らないなんて言わせないぞ。
雨宮さんから全部聞いてるんだから。
「今私、その手伝いをしてるんですよ。」
直接的には雨宮さんだけど。本当の本当に間接的にだけど。
「あー、あれか。
そんな獲得してきたっていうようなもんでもないよ。」
ただそこの会社の人とたまたま知り合いってだけで。本当偶然。
「だからそんな目を輝かせられると困るんだけどなぁ。
市田ちゃん?」
「え?」
ちらりと覗いてきた彼の視線に、一瞬どきっと心臓が跳ねる。
「そんな嬉しんだ。」
「……う、嬉しいですよ。」
速水さんと一緒に仕事できてるみたいで、力になれてるみたいで。
速水さんが思ってる以上に、ケッコウけっこう興奮してる。