おはようからおやすみまで蕩けさせて
「な、な、何で!?」


どうして天宮さんとベッドにいるの!?


ハッとして彼の格好を見た。
白いガウンみたいなものを身に付けている。

恐々と視線を自分に戻すと、昨夜の格好のままだ。




(良かった……)


いや、これを良かったで済ませていいのかどうかも謎だけど。


「あ、あの…私……」


記憶がない…と言うか、お店の外で別れた筈だったよね?


「その調子じゃ覚えてないのか?店の外で動けなくなったことは覚えてる?」


「わ、私が?」


「そうだよ。一歩も歩けなくなって困ったぞ。家に連れて帰るにしても住所よく知らないし、意外にも重いから背負うのも大変で」


「そ、そうだったんですか。す、すみません。……それで、ここは何処?」



そう言いながら部屋の内装を見回す。
ピンク色に染まった壁。
ベッドとテレビ以外は特に何も無いこの感じ。


(まさか…)


ベッドの先にあるガラス張りの部屋を見つけて動揺する。


間違いない。
ここはラブホテルだ…。


「あ…の……」


大丈夫。
天宮さんはガウンだけど、私が着てるのは昨夜の服のままだし。


「心配するな。指一本触れてないから」


ゆっくりと起き上がりながら囁く言葉にホッとする。
息を吐いて前を見たら、肌蹴たガウンの隙間から逞しい肉体が見えた。


< 12 / 164 >

この作品をシェア

pagetop