【完】君しか見えない
髪がある程度乾いたところで、私はハンドタオルをたたみながら、ずっと疑問に思っていたことを躊躇いがちに問いかけてみた。
「あの人と、なにがあったの?」
すると視線をそらすように、楓くんが長椅子へと座り、体の後ろに両手をついた。
そして、気怠げに綺麗な唇を開く。
「前に付き合ってた人なんだけど、また復縁したいって言い出したんだよね。
そーいうのは無しって約束で付き合ったっつーのに」
「元カノさん……」
つぶやきながら、背筋が伸びるような感覚。
あんなに綺麗で大人の人とも付き合ってたんだ……。