【完】君しか見えない
……それから、どれくらい寝ていただろう。
ふと、ぼんやり意識を覚醒させる。
けれど瞼を開くには至らなかった。
私ってば、結構寝ちゃったかな……。
うとうとしながらも、起きなきゃ…と思ったその時、前髪になにかが触れた。
それは、楓くんの手。
楓くんの大きな手が、そっと私の前髪を撫でていた。
「ったく、気持ちよさそうに寝てんなよ」
ぶっきらぼうな物言いとは相反して、まだ夢を見ているのかと錯覚しそうになるほどに、その手つきは優しくて。
私が起きたことには気づいていないらしい。
寝かしつけてくれてるのかな……。