【完】君しか見えない


そしてうっすらと目を開いた私は、思わず固まった。



───え?



だって、横から覆い被さるようにして上体を倒してくる楓くんの白い首元が、視界に飛び込んできたのだから。



状況をのみこめず慌ててぎゅっと目を閉じた、次の瞬間。



あまりにも優しくそっと、なにかが額に触れた。



それが、楓くんの唇だと理解するのに、時間はかからなかった。



「……隙ありすぎなんだよ、ばか」



怒って拗ねたように楓くんが独りごち、甘い吐息が耳をかすめた。



え……?



目をきつく閉じたまま、混乱する頭を整理しようにもしきれなくて。



夢、じゃない。


だって、感触はたしかにある。



も、もしかして、私、キスされた──?







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