【完】君しか見えない


『いただきます』



歩きながら、十羽があん饅を口に運ぶ。



俺は十羽の表情を盗み見るように、そちらに目を向ける。



するとパクッとあん饅を頬張った十羽が、目を括弧の上みたいに細めて、顔をほころばせた。



『んー、おいし〜い』



笑顔をこちらに向けて、美味しさを伝えてくる。



ほっぺたが落ちそうっていうのは、まさにこういうことを言うんじゃないかな。



テレビで見かけるどんなグルメレポーターよりも、心底美味しそうに食べる十羽。

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