【完】君しか見えない


『人がいないとこなら』

昨日、私がそう言ったからか、楓くんは街とは反対の山の方に向かって歩いて行く。



どこに行くのか、検討つかない。



こっちって、なにかあったかなぁ?


山ばっかりで、なにもなかった気がする……。



いくら頭をフルに稼働させても、答えは見つからないまま。



ただひとつたしかなのは、足の長い楓くんが私の歩幅に合わせて、リーチの差をカバーするように歩いてくれているってこと。



だからやっぱり、どこまでもついていこうなんて単純で当然な思考回路に落ち着くんだ。

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