【完】君しか見えない
そちらに目を向ければ、女子ふたりが廊下に隣接した窓から身を乗り出すように手を振っていて。
「おー、レナちゃんとミサちゃんじゃん」
「おはよーっ!」
笑顔をこしらえて、ひらひらと手を振り返す。
「おはよー。
あ、レナちゃん髪切った?」
「うそ、気づいてくれた?」
「もちろん。
ミサちゃんも、そのグロス似合ってんね」
「きゃー!ありがと、楓ーっ!」
またね〜♡と上機嫌に去っていくふたりが窓枠から見えなくなったところで、黒瀬が恨めしそうな視線をこちらに向けてきた。
「相変わらず、ムカつくほどにモテモテだなぁ、三好」
「なに、妬んでんの?」
「うっせー、違うわ!」
俺はへらりと笑うと、いちごミルクを手に取り、ストローを口にくわえた。
こんなとこ見たら、十羽ちゃんが悲しむんじゃねぇの?
なんて、そんな黒瀬の言葉は笑顔でスルーして。