【完】君しか見えない
ぎゅっと目を瞑っていると、数秒経ってはーっと呆れの色に染まったため息が聞こえてきた。
顔をあげれば、楓くんが首に手を当て渋々といったような表情を浮かべていて。
「ったく、しょうがねぇな」
「ほんと!?」
嬉々とした声をあげながらも、やっぱり楓くんは楓くんだと心の中で思う。
よっぽどなことがない限り、お願いされたら断らない。
小さい頃からそういう人だもん、楓くんは。
それをわかった上で頼み込んだのは、姑息な手段だったと言わざるを得ない。
だけど、このチャンスを逃したら、もうないから。