【完】君しか見えない
「ひとりで行かせると、余計面倒なことになりそうだし」
「ありがとう〜楓くん!
やっぱり私のママみたい!」
安堵で心が緩み、思わず本音を漏らすと、笑顔で怒りマークを浮かべた楓くんの顔がずいっと近づいてきて、頬を摘まれた。
「おいこら、だれがママだ。
調子乗んじゃねぇぞ?」
「ひゃ、ひゃい……」
うー、虐待反対……!
笑顔だから、余計怖いって!
ひりひりと痛む頬を抑えていると、楓くんが私の顔の前に人差し指を立てた。
「制服のままじゃどうにもならねぇし、着替えてくるから、6時半にまたここ集合な」
「うんっ」
楓くんとツリーを見られるんだ。
そう思ったら、弾んでしまう声の調子を抑えることなんてできなかった。