【完】君しか見えない
楓くんの知り合いに会ってしまったことに、体中が強張る。
そんな私のことなど視界に映っていない女の子は、楓くんにずんずんと近づいて来る。
私は咄嗟に楓くんから距離を取った。
「あ、ニーナちゃん。
偶然だねー」
舞い上がってる様子の女の子に対して、完璧な笑顔を作ってひらひらと手を振る楓くん。
ニーナちゃんと呼ばれたその女の子は、女の私でも見惚れるくらいにすごく可愛い子だった。
ふわふわしてて、なにもかもが洗練されている感じ。
楓くんと、すごいお似合いだ……。
楓くんの隣にいるべきなのは、こういう子なんだろうな。
「楓くんがひとりでいるなんて珍しいね!
だれかと来てるの?」
女の子の質問にびくっと肩が揺れ、斜め後ろからそっと楓くんを見上げる。
楓く───、
「いや、ひとりだよ」