【完】君しか見えない


途端に、背中に氷が流し込まれたような寒気が走る。



まずい。

こんなにも早く来てしまうなんて。



それは間違いなく、雷鳴だった。



雷が、私は大の苦手だ。



小さい頃、ひとりで留守番してる時に雷が落ちて停電になってしまってから、雷が鳴ると足がすくんでしまう。



ゴロゴロゴロゴロ



この世で最も嫌いなその音は、太鼓でも叩いてるかのような地響きをたてて、こちらへ近づいてくるようだ。



「やだ……」



ピカッと稲光が空に走るのを目にし、私は居ても立っても居られなくなって、考える間もなくある場所に向かって駆けていた。



ある場所とは、公園だ。


小さい頃から学校の帰り道に雷が鳴ると、そこに避難していた。



ここからも遠くはない。

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