【完】君しか見えない


公園に辿り着くと、一目散に中央にあるドーム型の遊具に逃げるように駆け込んだ。



ドーム型の遊具の中に座り込み、ぎゅっと耳を抑える。



そうしている間も、雷は私の気持ちなんてつゆ知らず、地響きのような音を立てて、だんだんとこっちへ近づいてきているようで。



涙がじわっと込み上げてくる。



早く、早く、遠ざかって。



心の中でそう祈った次の瞬間、ピカッと光が爆発した。

それを追うようにして、低く唸るような盛大な雷鳴が鳴り響く。



「……っ」



容赦ないその音に思わず息を呑み、ぎゅっときつく目を瞑る。



怖い……。



「怖い……。
怖いよ、楓くん……」



ピンチになった時、必ず真っ先に顔が浮かぶ人。


思わずその名をつぶやいた、その時だった。



「──いた」

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