【完】君しか見えない
雷が鳴り止んだ頃には、8時を回っていた。
点灯式は終わってしまったけれど、私たちはツリーを見に行くことにした。
「ツリー点灯してるといいね」
「雷鳴ってたから、微妙かもな」
公園から十数分ほどの距離を歩きながら、不安を口にする。
雷のせいで点灯式が行われていなかったら、ツリーは点灯していないはずだから。
……でも、そんな心配は無用だった。
イルミネーションの真っ白な光を纏ったツリーは、厳かにそして圧倒的な存在感を放ってそこに立ち、私たちを迎えてくれた。
「わ〜っ、綺麗……」
見る者の心を奪ってしまうほど、すごく綺麗で神秘的で。
自然と顔がほころび、感嘆の声が漏れる。
点灯式が終わっていたこともあり、ツリーの元へ訪れる人は私たち以外いなかった。
こうしてふたり並んでツリーを見上げていると、この世界にふたりきりになったような錯覚に陥る。