円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「ルーカス、ちょっと様子を見てくる」

「はい。旦那様。私も参ります」

「ああ、そうだな」
トーマス・オマリーは、
母の身の回りの世話をする
メイドに手を出していた。

伯爵家の屋敷の中で妙なことをして、
誰かが目撃でもしたら?

ウィリアムは、後々面倒なことに
なるのは避けたいと思った。


彼は、部屋を出るとホールの奥にある
ビリアード場に向かう。

ホールを抜け、ビリアード場に通じる
扉の前まで来たところで、
話声が聞こえて来たのに気が付いた。

男女の声だ。

男の方は、トーマスで間違いないだろう。


この辺りの男で、
ああいう話し方をする男はいないから。

おおかた、ここのメイド相手に適当なことを言って、口説いてるのだろう。

ウィリアムは、
うんざりしながらドアをノックした。

乱暴に叩いたから、ドアの中から
聞こえていた会話はピタッと止まった。


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