円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
どうでもいいと思ってるなら、放っておけばいいではないか。
エリノアは舞踏会そのもだって、どうでもいいのだし。
エリノアったら、舞踏会だけでなく、うっかりするとクリスマスだって忘れてるくらいだし。
それも、よくなかった。
彼女を放っておいたら、なんと去年の衣装を、気にせずに平気で着て行ってしまったのだ。
これには、さすがのメアリーも、口を出さずにはいられなかった。
メアリーは仕方なく、次の年から、自分のドレスの注文と合わせて、妹に似合いそうなドレスを適当に選んで、一緒に用意してあげることにした。
用意するのはいいんだけど。
ドレスが出来上がる頃になると、いったい姉妹のどっちのために買ったのか、わからなくなってしまう。
それで、こんなふうに、毎年ドレスと付属品の振り分けが必要になるのだ。
舞踏会に出かける前に、姉妹でチェックをするのも恒例になっている。
これだけしてあげても、エリノアは、感謝してくれるどころか、興味だって示してくれない。
いよいよ出発の段になって、侍女のアリスに怒られながら、着せ替え人形のように着替えをしてもらっている。
エリノアにどれがいい?って聞いたところで、メアリーが選んだあとの残りでいいわ。
なんて返事が返ってくるのが関の山だ。そんなことわかっているけど。