円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「はい。メアリーお嬢様。
衣装をお召しになられたら、教えて欲しいとのお言伝でございます」
本当はエリノアが気を使って、
こんな伝言を残すはずがないのは、メアリーも分かっている。
彼女はアリスに、気遣いありがとう
と言う意味で、にこやかに微笑んだ。
「まったく、エリノアたっら、
衣装の意見を言ってくれるどころか、部屋にもいなかったのね」
「申しわけありません。
エリノア様が黙って出て行くからと仰せでしたので」
「いいわ。分かってるから。
エリノアはどこ?聞くまでもないか。外にいるのね?」
「はい。菜園にいらっしゃると思います」
「わかった。ありがとう、アリス」
メアリーは、ドレス裾を持ち上げて軽やかに翻すと優雅に歩き出した。