円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
天の恵みとは、本当に有り難いものだ。
じりじりと照り付ける季節外れの日差しの中、エリノアは汗を滴らせて、自然の恵みに深く感謝していた。
キャベツにタマネギ、ニンジン、エンドウ豆、ジャガイモ……
今年は作付けした作物が、どれも近年になく豊作だった。
この菜園の収穫も、ジャガイモの収穫を終えれそれで最後、畑も春までしばらく休ませる。
作業は、朝早くから続いていた。
『今日は昼過ぎから天気が崩れる』
農家の出身の下男がそう言い出したから、雨が降ってくる前に、最後のジャガイモの収穫を急ごうということになった。
というわけで、普段、作業に加わらない、エリノアも一緒に畑に出ることになった。