零度の華 Ⅰ


梟が言うように他人事だ


あたしはあたし

二重人格だなんて嘘なのだから



「決まったよ!!」


嬉しそうにこちらを見て言う愛川


「名前は......桜‐サクラ‐ちゃんね」


『…っ……ありがとう!すごくいい名前。でも、なんで桜?』


「桜の花言葉って優美な女性って意味なんだ。こうやって話しているとすごく落ち着くっていうか、暖かいっていうか、そんな感じの印象をもったから、ピッタリだなって思ったの」




愛川は親身になって話す

よく、ここまで信じたもんだなと感心をする


恐怖を与えた人物を顔は変わりないのに、それでも別の人格を簡単に受け入れ、おまけに落ち着くなんて言えるんだな

色んな意味で寒心する



『そんな風に思ってくれて嬉しい、ありがとう』



作った笑顔はうまく笑えているのだろうか?

流石にここでうまく演技するのは難しいから、作り笑顔だとバレてもいいと思っている




ありがとう?


ふざけるな、そんなこと一ミリも思ってなんかいない

忌々しい名前を付けられてこっちは怒りしかない

その名で呼ばれるだけで腹が立ち吐き気が込み上げてくる


だが、名前の変更を求めれば理由を求められる

ただでさえ探られている目を向けられている中で下手な嘘はつけない

つまり、断るのは得策ではないため納得をしなくてはいけないということ


チッ


心の内で舌打ちをする




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