24歳、恋愛処女
まだ赤い手を真人さんと繋ぎ、鎌倉の海を見ながら階段を下りていく。

……真人さんと、また。

そんなことを願いながら。

 
そのあと、夕日の沈む海辺をふたりで散歩した。
あたりが暗くなってくると、真人さんに後ろから抱きしめられて砂浜に座る。

「……彩夏」

ちゅっ、耳元にふれた唇に、そこから熱が広がっていく気がした。

「……罰、受けてもらうよ」
 
真人さんの言葉に、忘れていたことを思い出す。
なにをされるのか怯え、背中がびくりと震えた私にかまわずに、真人さんの手が自分の方に向かせた。

「怯えないで。
怖いことはしないから」

頬にふれる、真人さんの冷たい手。
夕闇に包まれ始めたいま、見つめる顔はどんな表情をしているのかわからない。

「目、閉じて」
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