24歳、恋愛処女
戸惑ってる私を無視して、手を掴んでエレベーターに乗せる。
十階で降りて内廊下を進み、突き当たりの部屋のドアを開けた。

「適当に座ってて」

きれい、だけど無機質で生活感のないリビング。
ソファーにそっと座ると、オープンになっているキッチンから、ワインの瓶とグラスを二つ持って、真人さんが隣に座った。

「ほんとはね。
もっとゆっくりやるはずだったんだ」

グラスに注がれる赤い液体。
一つを渡されて受け取ると、乾杯をするように軽く上げ、真人さんはその中身を一気に飲み干す。

「理央の件があって、正直助かった。
少し焦り始めていたから」

口も付けずに止まってた私の手からグラスを取ると、その中身も一気に飲み干し、カツンと堅い音を立ててテーブルの上に置いた。

「さっき連絡があって、もう時間がないことがわかった。
これ以上、待たせられない」

ぎゅっと真人さんが抱きついてくる。
震えてる真人さんの手に不安になった。

……さらに。
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