24歳、恋愛処女
「ごめん、彩夏」

小さく謝罪の声が聞こえたかと思ったら、唇を塞がれた。
乱雑なそのキスは、焦ってる、そういう気持ちがありありと出ていた。

「ま、真人さん!?」

押し倒されたソファーに慌てるけれど、真人さんは私を無理矢理押さえつけて首筋に唇を這わせてくる。
ゾクゾクと鳥肌が立っていく。
イヤイヤしたって、真人さんはかまわずにふれてきた。

「やだ……」

私から出た涙声に、真人さんの動きがぴたりと止まる。
離れると背中を丸めて俯き、はぁーっと大きなため息をついた。

「……ごめん」

ワインの瓶に伸ばしかけた手が止まり、ぐっと強く握られる。

「これ以上酔ったら、またろくなことしないな」

自嘲するように呟かれる言葉。
前髪が落ちて顔を隠し、表情はわからない。
ただ、後悔してるんだってことだけはわかった。

「真人さん……?」
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