24歳、恋愛処女
「……同情して流されました」

「あのさ。
そういう優しいところは二村さんのいいところだけど同時に悪いとこ」

困ったように笑う松本課長になにも返せない。
確かにいうとおり、だから。

「彼らの気持ちを考えることも大事だけど、一番重要なのは二村さんの気持ち。
自分がなにを考えてるのか、どうしたいのかしっかり見つめて」

「……はい」

ぽんぽん、私のあたまにふれる手に顔をあげると、なぜか松本課長は笑ってた。

「今回の件で確かに僕は怒ってるけど、少し嬉しいんだ。
あんなに他人に感心がなかった二村さんが、ペースを乱されて悩んでる。
しかもふたりとか。
お赤飯炊きたいくらいだよ」

「……なにげに失礼です」

人が深刻に悩んでるっていうのに、楽しそうな松本課長にふて腐れてビールを口に運ぶ。
でもそういう松本課長に少しだけ、気持ちが楽になってた。
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