24歳、恋愛処女
たまにやる、ああいうところが悪い癖だ。

「最低だね」

「だから、ただの上司ですから」

「へえ。
それで僕が納得するとでも?」

はっ、自嘲するかのように笑う真人さんにきつく唇を噛んだ。

「云い訳する気があるのなら、日曜日にあわせて聞いてやる」

きびすを返して立ち去った真人さんに、私はただ、立ち尽くすことしかできなかった。


 
家に帰り、外泊を咎める母の声を無視して部屋に入る。
ベッドに座ると枕を抱き抱えて丸くなった。

……もう修復不可能だよね。

そもそもは自分が撒いた種だ。
きちんと結果を出してふたりに話すまではキスまで、そう決めていたのに感情に流されて真人さんと一線を越えたのは私。
さらには理央に断りを云いに行ったはずなのに、また感情に流されて。

自分がこんなに、感情に流されやすいなんて知らなかった。
流されて、ふたりの男の人に同時に抱かれることができる、最低な人間だって初めて知った。
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