24歳、恋愛処女
とうとう真人さんから胸ぐらを掴まれた理央は、冷え冷えとした目で真人さんを見つめていた。

「だってそうだろ?
兄さんに抱かれたくせに、同情かなんか知らないけど俺とも寝て。
あーあ、なんか幻滅。
こんな軽い女だとは思ってなかった」

真人さんの手を払いのけると、服を軽く整える。
私に向けられる冷たい視線に、凍ってしまいそうだった。

「いらないよ、こんな最低女。
兄さんに熨斗つけてくれてやる」

立ち上がった理央が出て行って、ぱたんと障子が閉まった。
気が抜けたように座布団に座り直した真人さんは店員を呼んで新たなビールを頼む。

「理央が云うとおり、悪いのは全部私なので」

届いたビールを真人さんは黙って手酌で飲んでいる。

「私が最低だから、平気で約束を破って真人さんに抱かれて。
私が最低だから、真人さん裏切って理央にも抱かれて。
私が最低だから、ふたりを傷つけて。
私が、最低、だから」

泣く資格なんてないのに、涙がぽたぽたと落ちてくる。
そんな私にまだ、真人さんは黙ってビールを飲んでいる。
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