24歳、恋愛処女
「ごめんなさい、ごめんなさい。
最低な私で、ごめんなさい。
私は真人さんに愛してるなんて云う資格、ないから。
本当にごめんなさい。
……じゃあ」

立ち上がると、手を掴まれた。
驚いて顔をあげると、視線の合った、眼鏡の奥の目が、すぅーっと伏せられた。

「……彩夏は僕を、愛しているのか?」

「愛してる。
真人さんだけを愛してる。
でも、私には資格がないから」

ふりほどこうとしても手は離れない。
それどころか、指を絡めて強く握ってくる。

「彩夏は僕を、愛してるんだ」

じっと私を見つめる視線に射られ、目を逸らせない。

「愛してる。
でも、きっとまた、同じ過ちを犯してしまうから」
 
つながってない方の手が伸びてきてそっと頬にふれ、びくりと身体が震えた。
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