24歳、恋愛処女
「あの」

「お詫び、なので」

連れてこられたのは五十三階の高級レストラン。
窓から見下ろす東京の街並みがきらきらとして見える。
お詫びというには高すぎる気がするが、いまさら断れないので素直に椅子に座った。
もうコースを予約してるのか飲み物を頼んだあと、料理が出てき始める。
一度だけ利用したことがあるけれど、やっぱりおいしい。
出すワインにも合ってるし、いろいろ参考になる。

「二村さんは」

「は、はい!」

くすり、おかしそうに小さく笑われて、恥ずかしくて頬が熱くなっていく。
食事に集中してて荻原先生がいるの、忘れてた。

「聞かないんですね、いろいろ」

「いろいろ?」

一体、なにを聞くというんだろう?
別に聞くことなんてないよね?

「気になりませんか、私のこと」

「はあ、別に」
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