24歳、恋愛処女
第二章
「二村さん、昨日のあれ、誰?」

お詫びにと荻原先生と一緒に食事に行った翌日。
包丁を持ったまま佐伯さんに詰め寄られて、思わず三歩後ろに下がってしまう。

「昨日の?」

「二階のカフェから、男と一緒に出てきた。
しかも、イケメン」

……ああ。
昨日、見てたんですね。

「歯医者の先生ですよ」

「もしかして、例のイケメン歯科医!?」

「……多分」

例のが、どの例の、なのかは知りませんが、多分そうなんでしょう。
南谷さんはワイルドというより粗雑で、違うと思うし。

「それがなんで、二村さんと?」

非難がましく睨まれても困る。
むしろ、佐伯さんのそういうところが嫌い。
佐伯さんだけじゃない、女性のそういうところが嫌いだったりする。
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