24歳、恋愛処女
「ちょっと、トラブルがあって。
お詫びにって食事をごちそうしてくれただけですよ」

「なんでそうなるの?
ねえ!?
ねえ!」

知るか、そんなこと。
荻原先生に提案されて、押し切られただけだし。
仕事しないでそんなことに拘られても困る。
さらにいうなら、せめて包丁は置いて欲しい。

「じゃあさ、やっぱり連絡先教えてよ。
歯科医でイケメンとかめちゃくちゃレベル高いんだから」

「……嫌です」

舌なめずりが聞こえてきそうな佐伯さんの言葉に、昨日、荻原先生が云ってた意味がわかった気がした。
きっと、いつもこんな感じで、根ほり葉ほり聞かれてるんだ。
ちょっとお気の毒だと思う。
だから、連絡先は交換して知ってたけど、教える気は全くない。

「独り占めとか、ずるい!」

ねちねちと絡む佐伯さんを睨みつける。

独り占めってなに?
だから、男が絡むと嫌なんだ。



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