24歳、恋愛処女
みんなに聞こえないように耳打ちすると、あたまをぽんぽんしてくれた。
きっと、松本課長にとって私は、妹みたいなものなんだろう。
私も、優しい兄のように思ってるところもあるし。

 
あらかた料理もできてたし、盛りつけしながら片づける。
ワインを開けると試食会。
昼間っからお酒片手に仕事なんて羨ましい、よくそう云われる。
今日はこのあいだの、発表会料理の試作三回目。

「だいたいこんな感じでいいんじゃないですかね」

「そうだね。
見た目も華やかだし、ワインとの相性もいいと思う」

「あとは量を調整して、商品部に発注ですね」

「レシピは私がまとめておきます」

真剣に話し合いは進んでいく。
ワインが入ったって、酔える隙はない。
佐伯さんもすでに仕事モードに入ってた。
てきぱきと発注量をまとめていく佐伯さんは、尊敬できるんだけどな。


 
待ち合わせのコーヒーショップ、私に気づくと荻原さんは見ていた携帯の画面から顔を上げ、にっこりと笑った。

「お待たせしました」
< 23 / 158 >

この作品をシェア

pagetop