24歳、恋愛処女
「いえ。
僕もいま、来たところなので」

二度目の食事の日。
待ち合わせは職場からも近いし、やはり二階のカフェでって云われたけど丁重にお断りした。
また佐伯さんに目撃されてがたがた云われるのは嫌だ。
だから、会社の入ってるビルから少し離れた、コーヒーショップ。
ここだとさすがに、知り合いに見られることもないだろう。

 
コーヒーショップを出て、地下鉄の駅に向かう。
目的地はここから二駅。
並んで歩きながら、なにを話していいのかわからない。
私よりあたまひとつ高い荻原先生。
でも、歩くのは私と変わらない。
もしかして、合わせてくれてるのかな。

「普段車だから、滅多に地下鉄、乗らないんですよね」

駅に着くと苦笑いで、少し戸惑いながら荻原先生は切符を買った。

「じゃあ、今日は車は……?」

「食事だったら飲むでしょ?
だから、置いてきました」

いや、さっき切符買うのにちょっと苦労してたみたいだし。
どうやってここまできたのかが気になるんですが。
ま、いっか。
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