24歳、恋愛処女
訳がわかんなくて首を傾げたら、視線の先に困ったように笑う、荻原先生の顔が見えた。

「仕事以外で先生って呼ばれるの、苦手なんです。
いまはプライベート、なので」

「……わかりました」

ちょっと変わってる、かも。
あ、でも、冗談で南谷さんに「先生」って云ったらしばかれる。
それと同じなのかな。

 
いつもの日本酒と、お店お勧めのサラダ、あと適当におつまみを頼む。
それから丸鶏の素揚げ。
いつもこれが食べたいのだが、ひとりで頼むとほかのがあまり食べられないから困ってた。
でも今日はふたりだから、心おきなく頼める。

お酒を飲みながら、たわいのない話をする。

「そういえばこのあいだは聞きそびれてしまったんですが、二村さんと院長はどういう関係なんですか?」

「あー」

関係、……関係、ね。
複雑といえば複雑なんだけど。
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