24歳、恋愛処女
「孫かー。
うちの両親も期待してるのかなー?」

「二村さんは、彼氏とかはいないんですか?」

「全然!
私はひとりの方が気楽なので、いままでもこれから先も結婚なんて考えてないですし」

ぶんぶん両手を振って否定すると、荻原さんは口元だけで笑って冷酒のグラスを口に運んだ。

「でも、失礼だけど僕より若いでしょう?
まだいくらでも変わるんじゃないんですか?」

「えっと。
荻原さんっていくつですか?」

「ちょうど三十です」

ということは、私より六つ年上?

「失礼ながら、私なんかより荻原さんの方が結婚とか考えなきゃいけないんじゃ?」

おそるおそる上目で窺うと、荻原さんは吐き捨てるかのように笑った。

「そうですね。
仕事柄か、見合いの話は途切れることがないですよ」
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