24歳、恋愛処女
黙ってグラスを傾ける荻原さんに、聞いちゃいけないこと、聞いた気がした。

「あ、ほら。
田中さんのとこ、女の子だって云ってました。
いまからあれで、生まれたらどうなるんでしょうね?」

「もう目に入れても痛くないくらい、可愛がるでしょうね」

慌てて話題を変えると、荻原さんは普通に乗ってきて、ほっとした。

 
会計の段階で、荻原さんが払うと云ってきたので断った。

「このあいだはお詫びだからごちそうになりましたが、今日は違うので」

「でも」

「でもじゃなくて、割り勘で」

伝票片手に計算をしようとしたら、荻原さんの手に奪われる。

「だから!」

「今日は僕が払います。
次は二村さんが払ってください」

奪い返そうとしたけど、伝票を手にしたままにっこりと笑われてしまった。

「次?」
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