24歳、恋愛処女
「?
二村、ですけど?」

「そうじゃなくて下の名前」

「彩夏、です」

どうして名前を聞かれるのかわからない。
名字で十分じゃないのかな。

「サイカちゃんはダイエットが目的、だっけ?
なら、こっちの筋トレマシンでトレーニングして、そのあとランニングマシンとかで有酸素運動するのが効果的」

……彩夏ちゃん。
いきなり名前呼びされて、不快感が募っていく。
ちょんちょん、肩をつつかれて荻原さんを見上げると、顔が耳元に寄ってきた。

「……すみません。
そういう奴なので」

耳元でこそっと、すまなそうに呟かれ、目が合うと小さくあたまを下げられた。
別に荻原さんが謝ることじゃないのに。

「こっちがプール。
泳げなくてもレッスンがあるから、大丈夫」

このビルの中にプールがあるなんて初めて知った。
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