24歳、恋愛処女
見上げた先には艶を帯びて光ってる、理央さんの瞳。
恐怖と緊張でからからになっている喉は、ごくりと音を立ててつばを飲み込んだ。

「なに、云ってるんですか……?」

云ってる意味が理解できない。
どうして私が、理央さんと付き合わなきゃいけないんだろう?

「だーかーらー。
兄さんじゃなくて俺と付き合えって」

いや、やっぱり意味がわからない。
戸惑ってる私なんて置いてけぼりで、理央さんの顔が近づいてくる。

あれ?

とか思ってると唇になにかがふれて離れた。
おそるおそる、離れた顔を見上げると、視線のあった理央さんが片頬を歪ませてにやりと笑った。

「意外と気持ちいいんだ、その唇」

ぺろり、まるでついた私の感触を味わうように理央さんの舌が自分の唇を舐める。
それを見てようやくなにをされたのか理解した私は、……混乱して泣き出してしまった。

「は!?
泣くようなことじゃないだろ!?」
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