24歳、恋愛処女
泣いている私に、珍しく理央さんが慌ててる。

「……だって……キス……初めて……」

「ちょっと待って。
それって兄さんと、どころか処女だってこと?」

こくんとひとつ頷くと、理央さんは大きなため息を落とした。

「そりゃ悪かった。
俺はそういう重いの……いや、待てよ」

急に私から興味をなくしたような理央さんだったけれど、少し考えるとまた、片頬を歪めて人の悪い笑みを浮かべた。

「このことは兄さん、知ってるの?」

黙って首を横に振ると、ますます愉快そうに理央さんは笑っている。

「んじゃ、彩夏ちゃん。
キスの責任取ってやるから、俺と付き合おう?」

私を見つめる理央さんの瞳は、なにかを企んでるようにしか見えない。
けど突然のファーストキスでパニックになっていた私はそうするしかない気がして、頷いてしまった。


 
そのあとすぐの日曜日、食事をしようって理央さんに呼び出された。
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