空に咲く花とキミを
「華、余計なものまで出すなよ?部屋はそれくらいにして買い物行くぞ」

「え、買い物?」

「食料だとか洗剤だとか…足りない物があるだろ?考えろよ」

「そうだね…」

実家のあたしの部屋から持って来た可愛い雑貨とか、色々飾りたかったのにな…って思うあたしはやっぱり子供なのかな。

生活に必要な物をいち早く揃えに行くーーー直くんの考えは間違っていないから。

「もう4時なんだ、早くしないと飲みに行けないだろうが」


「……」

言われた瞬間、あたしの身体がすうっと冷えていったのは、エアコンのせいではなくて、聞きたくない言葉を聞いたから。

飲みたいと思えば、時間関係なく飲みに行くくせに…。

「飲みに…って、どこに?」

「そんなの探せばいくらでもあるだろ。ほら、早く来いよ」

直くんは車の鍵を手に取ると、玄関に向かって歩き出した…。


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