空に咲く花とキミを
どんよりと暗い気持ちを背負って、あたしは直くんの後に続いて玄関に行き、渋々スニーカーを履いた。

外はまだ暑く、今年もまた夏が来たのだと実感する。

「まずは100円ショップだな」

ひとり言を言いながら、当たり前のようにあたしの車に乗り込みエンジンをかける直くん。

「…」

さも自分の車かのように扱う直くんに何も言わず、あたしは黙って助手席に座った。

もうずっと、こんなかんじだから。

「近くに飲み屋ねえかな〜」

運転しながらキョロキョロする直くんは、機嫌が良かった。


幸いアパートの付近にはスーパーやドラッグストア、病院や銀行なんかもあり、生活するのに困る事はなさそうだった。

近場でパパッと買い物を済ませたあたしと直くん、てっきりアパートに戻るのかと思いきや、車は反対方向に走っていた。

「どこ行くの…?」

「んぁ?ちょっと探険。迷ってもナビで戻れるし」

イヤな予感が、した。


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