空に咲く花とキミを
それに、今日は引っ越しや契約で1日ハードだったから早く寝たいーーーとも言える訳がなく、嫌々スニーカーに足を入れる。

「……」

やっぱり直くんは、直くんなのかな…。


10分も歩かないうちに、直くんの言っていた焼肉屋さんに到着した。

歩いて来たのはお酒を飲むからで、健康のためでもガソリンの節約でもない。

席に案内されると、とりあえずビールや酎ハイを頼んでから、メニューを開いた。

そして店員さんを呼び、注文していくーーーこれは全て直くんがやることで、あたしはお酒を選ぶことくらいしかできないのだ。

「新しい生活に乾杯!」

笑顔で言った直くんは本当にご機嫌で、嬉しそうにビールを飲み始めた。

「…」

新しい生活か……。

そうだね、もちろんあたしにとっても新しい生活だ。

でもそれだけじゃない、あたしはこの町での生活に賭けているから。

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